劇団4ドル50セントが新境地に挑む最新作、舞台『藤色の封筒~「救済」に隠された真実~』が3月4日、東京・池袋のシアターグリーン BOX in BOXで開幕。同日には公演開幕に先駆け、公開ゲネプロと会見が行われた。
総合プロデュースを手がけるのは秋元康。昨冬ネット配信され話題を集めたミステリードラマ『藤色の封筒』の続編として描かれる本作で、劇団は初の本格ミステリーに挑戦する。

物語の発端は、「希望すると救済資金が手に入る」という都市伝説“藤色の封筒”。その封筒に導かれた青年・朝霧真人(宮地樹)は、新興サプリメント企業「ウィズダリア」に入社する。しかしそこは、狂信的な理念と違法薬物の影が漂う危うい組織だった。真人は社内で起きた不審死の真相を追う中で、“人を信じる”という自身の価値観を揺さぶられていく。
真人と行動を共にするのは、教育係の西田響(安倍乙)と社長の娘・佐藤依紗代(田中音江)。さらに社長代理・辺堀美弥(前田悠雅)、人事担当の重田くるみ(仲美海)らが絡み合い、物語は二転三転。「信じること」は救済なのか、それとも現実逃避なのか。物語は真の黒幕の存在にも迫っていく。
公開ゲネプロを実施
公開ゲネプロでは、キャスト陣が緊迫感あふれるやり取りを展開。小劇場という密度の高い空間を生かし、視線の交錯やわずかな沈黙までもが伏線として機能する濃密な心理戦を繰り広げた。高さ1メートルを超える舞台セットも存在感を放ち、物語の不穏さを視覚的にも強調。終盤にかけて加速する展開では、登場人物それぞれの思惑がぶつかり合い、緊張感のある演技で物語の核心を描き出していた。





ゲネプロ後に会見
ゲネプロ後に行われた会見では、安倍乙、田中音江、宮地樹、仲美海、前田悠雅が初日を迎えた心境や意気込みを語った。
教育係・西田響役の安倍は「舞台に立つのは久しぶりで不安もありましたが、皆で協力して初日を迎えられてうれしい」と安堵の表情。「全員が怪しく見える作品。誰が犯人なのか、最後までドキドキしながら楽しんでいただけたら」と呼びかけた。

主人公・朝霧真人を演じる宮地は、劇場との縁を語る。「劇団に入る前に初めて立った舞台も、入団後初の舞台もこの劇場。今回は物語の中心人物として戻ってくることができました。不思議な因果を感じて余計に緊張しています」。その上で「個性的なキャストがそろっています。張り巡らされたトリックをぜひ体感してほしい」と自信をのぞかせた。

社長の娘・佐藤依紗代役の田中は、映像作品から舞台への演技の切り替えに苦労があったことを明かす。「ドラマでは抑えていた表現を、舞台では改めて広げていく必要があった。そこは自分の中で大きな課題でした」と振り返り、「さまざまな思いを背負って千秋楽まで丁寧に演じたい」と意気込んだ。

社長代理・辺堀美弥役の前田は「守りたいもののためにうそをつく役。そのせめぎ合いが難しかった」と役柄の葛藤を吐露。2017年の旗揚げから在籍する1期生として「今年で9年目。劇団としてもまた一段ギアを上げた姿をお見せできると思います」と力を込めた。

人事担当・重田くるみ役の仲は、「皆を少し引いた位置から見る役どころ。うそを信じないと言えないせりふも多く、自分と役のどちらが本当のことを言っているのか見極めるのが難しかった」とコメント。物語の中で“観察者”のような立場にある役割について、「だからこそ客観的に物語を見つめる視点を大切にしたい」と語った。

会見では、作品にちなみ劇団の“都市伝説”も話題に。前田が旗揚げ当時の地下稽古場で出演者に体調不良が相次いだエピソードを披露すると、安倍も「毎日のように起きていた」と同調。前田は「後に同じ場所へ行ったら何もなかった。あの時の私たちに何かあったのかも」と苦笑し、場を和ませていた。
舞台『藤色の封筒』は、3月8日(日)まで上演され、全8公演が予定されている。
公演概要
作品名:舞台『藤色の封筒~「救済」に隠された真実~』
作:STORYPOD 冬田 泉水みに
演出:ガクカワサキ
会場:シアターグリーン BOX in BOX
上演期間:2026年3月4日(水)~3月8日(日)※全8公演
出演:安倍乙、大槻理子、菅原理久十、田中音江、仲美海、中村碧十、前田悠雅、宮地樹、吉川真世
上演時間:約90分間

